トーンを揃えると絵が変わる、クリアとソフトの使い分け

トーンを揃えると絵が変わる——クリアトーンとソフトトーンの使い分けを紹介する記事のキービジュアル

好きな色を選んで丁寧に塗ったのに、仕上がりを見るとなんだかちぐはぐに見える。そんな経験はありませんか。

一色ずつ見るときれいなのに、全体だとまとまらないのは、色選びのセンスではなく「トーン」がばらばらになっていることが多いんです。今回は、絵の雰囲気を左右するトーンの考え方と、制作ですぐに使えるまとめ方をご紹介します。

トーンとは色の「雰囲気」のこと

同じ花のスケッチを、鮮やかな色と、くすんだ色の2通りで塗り分けて並べた比較イラスト。「色相=何色か」「トーン=どんな雰囲気か」という日本語の説明文字入り
同じ花、同じ色相でも、トーンが違うだけで印象はがらりと変わります。

色には「赤」「青」といった色相のほかに、明るさ(明度)と鮮やかさ(彩度)があります。この明るさと鮮やかさの組み合わせで決まる色の雰囲気を「トーン」と呼びます。

色相が「何色か」を決めるのに対して、トーンは「その色がどんな印象を与えるか」を決めます。同じ花を同じ色相で描いても、トーンが違うだけで、元気な絵にも静かな絵にもなるんです。

同じ赤でも4つの表情に変わる

赤色を4つのトーンで塗った正方形の色見本を2×2で並べた図。「鮮やか×明るい=元気」「鮮やか×暗い=重厚」「くすみ×明るい=やさしい」「くすみ×暗い=渋い」の日本語ラベル入り
鮮やかさと明るさの組み合わせで、赤は4つの表情を見せます。

赤ひとつを例にすると、トーンの違いがよく分かります。

  • 鮮やかで明るい赤:元気、情熱、子どもらしさ
  • 鮮やかで暗い赤:重厚、高級感、大人っぽさ
  • くすんで明るい赤:やさしい、かわいい、甘い
  • くすんで暗い赤:渋い、アンティーク、落ち着き

いちごを描くなら鮮やかで明るい赤、ワインのある静物なら鮮やかで暗い赤、ドライフラワーならくすんだ赤、というように、モチーフの雰囲気に合わせて同じ赤でも選び分けられます。

クリアトーンは明るく元気な絵に

朝の光を浴びたひまわりと青空を、鮮やかで澄んだ色鉛筆の色だけで描いたイラスト。画面下に「ビビッド」「ブライト」「ライト」「ペール」の色見本帯と日本語ラベル入り
ビビッド、ブライト、ライト、ペール。澄んだ色だけでまとめた一枚です。

鮮やかで明るい色のグループがクリアトーンです。原色に近いビビッド、少し白みがかって親しみやすいブライト、明るくやわらかいライト、ごく淡いパステル調のペールがあります。

夏の海辺、朝の光の中の花、子どもやペットの楽しげな場面など、元気で弾むような絵に向いています。

Tip 色鉛筆なら筆圧をしっかりかけて発色を出し、明るい部分は紙の白を残すと、透明感のあるクリアトーンにまとまります。

ソフトトーンは落ち着いた大人の絵に

夕暮れの窓辺に置かれた陶器の花瓶とりんごの静物画を、灰みのあるやわらかな色で描いたイラスト。画面下に「ソフト」「ダル」「グレイッシュ」の色見本帯と日本語ラベル入り
ソフト、ダル、グレイッシュ。灰みのある色が夕暮れの静けさをつくります。

彩度を抑えた穏やかな色のグループがソフトトーンです。やさしくナチュラルなソフト、グレーがかって落ち着いたダル、さらに灰みが強くシックなグレイッシュなどがあります。さらに暗めのダークトーンを加えると、重厚で深みのある印象になります。

夕暮れの静物、雨の街並み、アンティーク雑貨など、静かで上品な絵に向いています。

Tip 色鉛筆ならグレーを薄く重ねてから色をのせると、自然にくすんだトーンが作れます。水彩なら、色に少量の補色やグレーを混ぜるのが手軽です。

描く前に「どちらのトーンか」を決める

スケッチブックの端に、これから使う5色の色見本を小さく塗り並べている手元の写真風イラスト。「①雰囲気を決める②色見本を作る③浮いた色を直す」の日本語手順文字入り
塗り始める前に、紙の端で小さな色見本をつくっておきます。

トーンを絵に生かすには、塗り始める前の準備が大切です。次の手順を試してみてください。

  1. 雰囲気を決める

    この絵を「クリアトーンでまとめるか、ソフトトーンでまとめるか」を最初に決めます。

  2. 色見本をつくる

    使う予定の色を5〜6色選び、紙の端に小さく塗って並べます。

  3. 浮いている色を探す

    並べた色見本を少し離れて目を細めて眺め、ひとつだけ浮いている色がないか確認します。

  4. トーンの合う色に差し替える

    浮いている色があれば、同じ色相でトーンの合う色に差し替えます。

Note よくある失敗が、背景はやわらかなパステル調なのに、主役だけ原色で塗ってしまうトーンの混在です。主役を目立たせたいときも、トーンは揃えたまま明暗の差で目立たせると、画面全体のまとまりを保てます。
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用意するもの

トーンを揃えるには、同じ色相でも明るさや鮮やかさの違う色が手元にあると便利です。色数の多いセットほど、「この赤は少し強すぎるから、もう一段やさしい赤に」という差し替えがしやすくなります。

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色数が多いぶん、同じ色相のなかで明るい色・くすんだ色・暗い色を選び分けやすい180色。色見本で浮いた一色を見つけたとき、トーンの合う色にすぐ差し替えられます。

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まとめ

同じ色相でも、明るさと鮮やかさの組み合わせで絵の印象は大きく変わります。最初に「今日はクリアトーン」「今日はソフトトーン」と決めておくだけで色選びに迷わなくなり、作品全体に統一感が出て洗練された印象に仕上がります。

次の一枚は、色見本を作るところから始めてみてください。

色そのものより、色どうしの「雰囲気のそろい方」に目を向けてみる。それだけで、いつもの一枚がひと味変わります。

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