色相環で色を選ぶ——配色に迷わない3つの型

12色の色相環を中央に置き、周りに色鉛筆やスケッチを配した、配色の基本を表すキービジュアル

パレットの前で手が止まる。次にどの色を足せばいいのか分からなくて、結局いつもと同じ組み合わせに落ち着いてしまう。描く時間そのものは楽しいのに、色選びだけが毎回ふりだしに戻る——そんなもどかしさを感じたことはありませんか。

色選びが直感頼みになってしまうのは、色同士の関係を見る地図を持っていないからです。その地図が色相環です。今日は色相環の読み方と、そこから取り出せる3つの配色の型を、モチーフ別の具体例とあわせて見ていきましょう。覚えることは多くありません。3つだけです。

色相環は色の地図——まず並びを覚える

12色の色相環の図解。赤・橙・黄・黄緑・緑・青緑・青・青紫・紫・赤紫の位置と名前を明示し、隣と向かい側の関係を矢印で示す
覚えるのは2つだけ。隣は似た色、向かいは正反対の色

色相環は、色味の変化を虹の順番どおりに円へ並べたものです。基本は12色。赤から橙、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫と進んで、また赤へ戻ってきます。

この円で大事なのは、たった2つの関係です。隣同士は似た色。向かい側は正反対の色。この2点さえ頭に入っていれば、あとは円のどこを切り取るかを選ぶだけで配色が決まります。

たとえば手元の色鉛筆を、実際にこの順番で並べてみてください。橙の隣が黄で、黄の向かい側が紫だと目で確かめられると、記憶ではなく感覚として残ります。「なんとなく合いそう」が「隣だから合う」「向かいだから引き立つ」に変わる。それが色相環を持つ意味です。

油性色鉛筆180色|3.3mmソフト芯・缶ケース|塗り絵・イラスト の商品画像

油性色鉛筆180色|3.3mmソフト芯・缶ケース|塗り絵・イラスト

1本ずつにカラー名と番号が刻印されているので、色相環の順に並べ替える作業がしやすく、自分だけの色見本をつくるのにも向いています。同じ色相の中に明るいものからくすんだものまでそろうため、この記事で出てくる「彩度を1段落とす」「明度だけで差をつける」という調整を、混色に頼らず持ち替えるだけで進められます。

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補色配色——主役を最短で引き立てる

青い花瓶を橙みの背景で描いた水彩画と、同系色の背景で描いた同じ花瓶を並べた比較図
背景を向かい側の色にするだけで、主役が前へ出てくる

円の正反対、180度に位置する色同士の組み合わせが補色です。赤と緑、青と橙、黄と紫。この3組を覚えておけば、たいていの場面で足ります。

補色の力は、絵を見た瞬間に視線を主役へ引き寄せることです。青い花瓶を静物で描くなら、背景に橙みのある色を敷いてみてください。青が背景に押し出されるように前へ出て、主役がどこかを言葉なしで伝えられます。

ただし、そのまま使うと失敗します。両方を鮮やかなまま置くと色が激しくぶつかり合って、目が痛いような画面になってしまいます。

Tip コツは、片方の彩度を必ず落とすことです。この例なら、背景の橙をパステル調の淡いオレンジや、灰みを含んだテラコッタに寄せます。色鉛筆なら筆圧を弱めて薄く重ねるだけでも十分です。主役だけ鮮やかさを残し、相手役は一歩引かせる。メリハリを保ったまま、画面が上品にまとまります。

類似色配色——静かな統一感をつくる

黄緑・緑・青緑の3色だけで描かれた森の風景画。色数の少なさと明度の差が分かる構成
色数を絞っても、明度に差があれば奥行きは出せる

円の上で隣り合う2〜3色だけを使うのが類似色配色です。青・青緑・緑、あるいは黄・黄緑・緑といった組み合わせ。色同士がケンカしないので、落ち着いた印象や自然な空気感を出したいときに向いています。

森の風景や観葉植物、雨上がりの水辺。こうしたモチーフを類似色でまとめると、狙った空気がそのまま画面に乗ります。色数が少ないぶん、筆のタッチや紙の質感といった細部も見てもらいやすくなります。

弱点はひとつだけ。色同士の差が小さいので、油断すると全体がのっぺりして、どこが主役か分からなくなります。

Tip 対策は明度差です。同じ緑系でも、主役には明るい黄緑を、手前や影には深い青緑を。色相を増やさずに明度だけで奥行きを作るのが、この型の腕の見せどころです。ハイライトに紙の白を残しておくのも効きます。

トライアド配色——カラフルなのにまとまる

赤いりんご・黄色い洋梨・青いテーブルクロスを描いた果物の静物画。3色の面積比が異なることが分かる構図
3色を同じ量ずつ使わないことが、まとまりの条件

色相環を正三角形で切り取る3色の組み合わせがトライアドです。赤・黄・青、橙・緑・紫が代表的なところ。円の上で等間隔に離れているので、色数が多くても不思議とバランスが崩れません。

にぎやかさや楽しさを出したいときの型です。果物を並べた静物、花束、市場の風景。色をたくさん使いたい気持ちを、破綻させずに叶えてくれます。

Note 守ってほしいのは面積比です。3色を同じ量ずつ使うと主役が決まらず、散らかった絵になります。おおよそ7対2.5対0.5を目安に、1色をメイン、1色をサブ、1色をほんのアクセントとして置いてください。

りんごと洋梨の静物なら、赤いりんごをメインに、黄色い洋梨をサブに、青はテーブルクロスの影にほんの少しだけ。この配分にするだけで、意図のある画面に見えてきます。

実践——自分の絵を3つの型で分類してみる

描き上がったスケッチ3枚を机に並べ、色相環を横に置いて配色を確認している手元の様子
過去の絵を分類してみると、自分の偏りが見えてくる

型を覚えたら、次は自分の絵で確かめる番です。過去に描いた絵を3枚ほど並べて、それぞれの配色が補色・類似色・トライアドのどれに近いか分類してみてください。

やってみると、たいていの方は同じ型に偏っていると気づきます。類似色ばかりで穏やかな絵が多い方、補色ばかりで主張の強い絵が多い方。偏りそのものは個性ですが、自覚しているかどうかで次の一枚が変わります。

次に描くときは、いつもと違う型をひとつだけ試してみてください。類似色が多い方なら、影にほんのひとさじ補色を混ぜる。それだけで、これまで出せなかった深みが生まれます。

ちなみに、色づき始めた葉が澄んだ青空を背にして、はっとするほど鮮やかに見えることがありますよね。あれは赤と青緑が補色に近い関係にあるからです。この季節の風景は、そのまま配色のお手本になります。

まとめ

主役を引き立てたいなら補色、まとまりと静けさが欲しいなら類似色、にぎやかさを出したいならトライアド。色相環という地図の上で、この3つの切り取り方を使い分けるだけで、色選びは直感から選択へ変わります。

  • 補色 — 円の正反対。主役が前へ出る。片方の彩度を必ず落とす
  • 類似色 — 円の隣同士。静かにまとまる。明度差で奥行きを作る
  • トライアド — 円を正三角形で切る。にぎやかにまとまる。面積比は7対2.5対0.5

次に描き始める前に、モチーフを見て「今日はどの型でいこうか」と一度だけ考えてみてください。塗り始めてからの迷いが、驚くほど減るはずです。

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色相環は、覚えるものというより、手元に置いておくものです。迷ったときに一度目をやるだけで、次の一色が決まります。

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