柿を色鉛筆で描く——秋の実りのオレンジを重ねるコツ

テーブルの上に置かれた、へた付きの熟した柿を色鉛筆で描いたイラスト。赤と黄を重ねた深い橙色と白いハイライト、背景には淡い青緑

店先に柿が並び始めると、秋が来たなと感じますよね。10〜11月に旬を迎える柿は、丸みのある形とつややかな橙色が魅力で、色鉛筆のモチーフにぴったりです。

ただ、いざ描いてみると「オレンジがのっぺりする」「おもちゃのような色になる」と悩む方も多いのではないでしょうか。柿らしい深みは、一本の色鉛筆で塗りつぶすのではなく、薄い色を何層も重ねることで生まれます。今回は色の重ね順や筆圧の目安を交えながら、柿を一個描き上げるまでの流れをご紹介します。

下描きと最初の黄色

斜め上から見た柿の薄い鉛筆の下描きと、黄色を薄く塗った段階を左右に並べた図。光の当たる部分を丸く塗り残している。日本語ラベル「①下描き(へたの位置に十字)」「②黄色を筆圧2〜3で」「白く塗り残す」
へたの位置に十字を入れて下描き。光の部分は丸く塗り残して黄色を置きます。

柿は真上から見ると角の丸い四角形、横から見ると少し平たい丸に近い形をしています。初めて描くなら、斜め上から見た構図がおすすめです。薄い鉛筆で外形を軽く描き、へたの位置に小さな十字を入れておくと、萼の向きが決めやすくなります。

Tip 下描きの線は練りゴムで押さえて薄くしておくと、色鉛筆の色が濁りにくくなります。

色は明るい色から置くのが基本です。まず黄色を実全体に塗ります。筆圧は10段階で2〜3、紙の白がうっすら透けるくらいの軽さで十分です。このとき、光が当たる部分は丸く塗り残しておきます。この白が仕上げで効いてきます。

赤と黄を重ねて橙色を育てる

黄色の上に赤を重ねて橙色のグラデーションを作る手順図。へた側が濃く先端が明るい柿。日本語ラベル「へた周り:赤3層」「中ほど:2層」「先端:1層」「黄→赤→黄→赤→黄」、丸みに沿ったカーブの矢印
へた周りは赤3層、中ほどは2層、先端は1層。黄と交互に重ねます。

黄色の上に赤を重ねると、紙の上で自然な橙色が生まれます。いきなり濃いオレンジを強く塗ると色の層が埋まってしまい、後から調整がききません。

赤はへたの周りから先端に向かって、筆圧を少しずつ抜きながら塗ります。目安は、へた周りに3層、中ほどに2層、先端に1層です。赤と黄は一度に濃く塗らず、「黄→赤→黄→赤→黄」のように薄い層を交互に重ねるのがコツです。層を重ねるたびに紙の凹凸が少しずつ埋まり、ムラのないなめらかな橙色に近づきます。

Tip 塗る方向は実の丸みに沿って、カーブを描くように動かしてみてください。まっすぐ塗るよりも、ふっくらした立体感が出ます。熟した赤みの強い柿にしたいときは、へた周りの赤を1層増やすだけで印象が変わります。

へたと実の白い粉

柿のへたのクローズアップ図。十字に広がる4枚の萼と中心の軸、萼の縁が反り返って茶色くなっている様子。実の肩に白い粉がうっすら乗っている。日本語ラベル「萼は4枚」「縁をこげ茶で濃く」「白い粉(ブルーム)は白でふわっと」
萼は4枚。縁をこげ茶で濃くし、実の肩には白い粉をふわっと。

柿らしさを一番伝えるのがへたです。下描きの十字を目安に、少し波打つ形の萼を4枚描き、中心に小さな軸を加えます。黄緑を薄く敷いてから、深緑とこげ茶を付け根や縁に重ねましょう。萼の縁は反り返って茶色くなっていることが多いので、縁を少し濃くすると本物らしく見えます。へたは筆圧4〜5でしっかり描くと、絵全体が引き締まります。

白い粉 実の表面には、ブルームと呼ばれる白っぽい粉がうっすら付いています。実の肩のあたりに白の色鉛筆をなでる程度にかけると、もぎたての質感が出ます。ハイライトほど白くはっきりさせず、ぼんやり霞むくらいにとどめるのがポイントです。

影・背景・ハイライトで仕上げる

完成間近の柿の図。実の下側と机に落ちる影が紫がかった茶色、背景に淡い青緑がふんわり、練りゴムで光を抜いたハイライト。日本語ラベル「影は茶色3:紫1」「背景は補色の青緑を薄く」「練りゴムで光を抜く」
影は茶色3:紫1、背景は補色の青緑を薄く、光は練りゴムで抜きます。

影は黒で塗らないことが大切です。黒を使うと橙色がくすんでしまいます。茶色を薄く塗り、紫をほんの少し重ねた「紫がかった茶色」を使いましょう。比率は茶色3:紫1が目安です。机に落ちる影は実に接する部分を一番濃くし、外側へ向かってぼかします。影の中にほんの少し橙色を重ねると、実の色が映り込んだような自然な影になります。

背景には、橙色の補色である青緑を薄く敷いてみてください。補色が隣にあると、柿の橙色がぐっと鮮やかに見えます。塗りすぎないよう、柿の周りに筆圧1〜2でのせ、外側は紙の白に溶け込ませる程度にとどめます。

仕上げ 最後に、塗り残した光の周りに白を重ねてなじませます。さらに練りゴムの先をとがらせて光の中心を押さえると、色鉛筆の粉が取れて、つやのある光が浮かび上がります。
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用意するもの

実は黄色と赤、へたは黄緑・深緑・こげ茶、影は茶色と紫、背景は青緑。橙色は赤と黄を重ねて紙の上でつくるので、特別な色がなくても柿らしい深みは出せます。

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まとめ

完成した柿の色鉛筆画と、制作の5ステップを小さく並べたまとめ図。日本語ラベル「①黄色」「②赤と黄を重ねる」「③へたと白い粉」「④影と背景」「⑤光を抜く」
黄色、赤と黄の重ね、へたと白い粉、影と背景、そして光を抜く。

柿を描くポイントは、明るい黄色から始めること、赤と黄を交互に重ねてへた側を濃くすること、影には黒ではなく紫がかった茶色を使うことです。仕上げに白と練りゴムで光を抜けば、つややかな秋の実りが紙の上に現れます。

最初は小さめの柿一個から始めて、慣れてきたら二つ三つと並べたり、葉の付いた枝を添えたりしてみてください。

食卓の柿を囲んで、お子さんやお孫さんと描き比べるのも楽しい時間になりますよ。

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