秋の味覚を色鉛筆で描く——ぶどう・柿・栗

ぶどう・柿・栗を並べた秋の味覚の静物を色鉛筆で描いている机の風景

9月に入って、店先の果物売り場ががらりと変わりましたね。紫に光るぶどうの房、まだ少し青みの残る柿、つやつやした栗。手に取ってかごに入れながら、これは描いたらきれいだろうな、と思ったことはありませんか。

秋の味覚は、色鉛筆と相性のよいモチーフです。夏の果物のような強い水気ではなく、深い色と落ち着いた光沢が主役なので、薄い色を重ねる色鉛筆の得意分野そのものなのです。今日は3つの果物それぞれの質感の作り方と、並べて描くときの構成まで順にご紹介します。

ぶどう——粒のツヤと房の重なりを出す

ぶどうの房を奥・中・手前の3段階で描き分ける図解。奥の粒はつぶし、手前の粒だけを丁寧に仕上げる流れ
房は平面ではなく、奥行きのあるかたまりとしてとらえる

ぶどうを描いてのっぺりしてしまう原因は、たいてい全部の粒を同じ濃さで塗っていることです。房は立体なので、奥・中・手前の3段階に分けて考えてください。

奥の粒は、藍色や濃い紫でつぶして、輪郭をはっきり描きません。中ほどの粒はベースの赤紫を2回ほど重ねます。手前の粒だけを丁寧に仕上げます。この手前の粒に使う筆圧は10段階の3から4、ハイライトになる小さな丸を最初から塗り残しておくのがコツです。

粒と粒の間の暗い隙間は、一段濃い色でしっかり締めてください。ここが甘いと房がふくらんで見えません。仕上げに白っぽい果粉を表現するときは、芯の側面を寝かせて薄いグレーか水色を、粒の上半分だけになでるようにのせます。

Tip 丁寧に描き込む粒は、房全体の3割ほどで十分です。残りをつぶしたままにしておくと、描き込んだ粒が自然に手前へ出てきます。

柿——オレンジの深みを重ね塗りで作る

柿のオレンジを黄色・オレンジ・赤の3層で重ねる塗り順の図解。層が増えるごとに色に厚みが出る様子
オレンジ1本で塗った色と、3層重ねた色は別物になる

柿の色をオレンジ1本で塗ると、どうしても平たいプラスチックのような色になります。あの深いオレンジは、3つの層でできています。

  1. 1層目——黄色を実の全体に薄く

    いちばん明るい黄色を、実の全体へ薄く1層のせます。ここで色を決めようとせず、うっすら色がつく程度で止めてください。

  2. 2層目——オレンジを、光の当たる面を残しながら

    オレンジを重ねます。このとき、上から光が当たる面を少し塗り残してください。ここが後でツヤになります。

  3. 3層目——朱色や赤を、影の側と下の縁にだけ

    朱色や赤を、影になる側と下の縁にだけ重ねます。ここまで来ると色に厚みが出て、果肉の重さが伝わるようになります。

仕上げに、影のいちばん深いところへ緑を弱い筆圧でほんの少し混ぜてみてください。反対色の緑がオレンジを引き締めて、色が濁らずに深くなります。

Note 見落としがちなのがヘタです。ヘタは実とまったく違う質感で、乾いた緑がかった茶色をしています。4枚の葉が反り返り、実との境目に濃い影が落ちる。ここをきちんと描くだけで、絵がぐっと柿らしくなります。

黄、オレンジ、朱、赤。柿の3層は、こうした近い暖色をどれだけ細かく持っているかで深さが変わります。混色で作るより、1本ずつ選べたほうが濁りません。

油性色鉛筆72色|3.3mmソフト芯・紙製ケース|初心者の塗り絵 の商品画像

油性色鉛筆72色|3.3mmソフト芯・紙製ケース|初心者の塗り絵

黄からオレンジ、朱、赤へと続く暖色が1本ずつそろっているので、柿の3層を混色に頼らず選び分けられます。ソフト芯なので薄く重ねる塗り方に向いていて、影に緑をひとさじ足すような細かい調整もしやすい構成です。秋のモチーフをひととおり描くには十分な色数です。

¥1,580(税込)

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栗——テカリと渋皮のマットな質感

栗の光沢面とざらついた座の部分を描き分ける図解。上半分はつるりと光り、下の座は紙の目を活かしてざらつかせる
1つの実の中に、正反対の2つの質感が同居している

栗は1つの実の中に、正反対の2つの質感が同居しています。丸くふくらんだ表面はつるりと光り、下の座と呼ばれる白っぽい部分はざらざらしています。この差をつけることが、栗らしさの決め手になります。

光る面は、茶色を実のカーブに沿って一方向に塗ります。いちばん強く光る帯を細長く塗り残し、その周りに黄土色をなじませると、自然なテカリになります。白い色鉛筆で後から光を描き足すよりも、残したほうがずっと澄んだ光になります。

座の部分は逆に、芯を寝かせて薄い色をすべらせ、紙の目のざらつきをそのまま活かします。塗り込まないことが質感になります。実の先のとがった部分には短い毛が生えているので、芯を細くとがらせて短い線を数本、外へ向けて入れてください。

Tip 渋皮のすじは、濃い茶色でカーブに沿った線を3〜4本だけ。入れすぎると木彫りのように見えてしまいます。

秋の味覚を並べて——構成と背景のコツ

ぶどう・柿・栗を三角形に配置した構図と、背景を塗らずに余白を残す取り方を示した図解
横一列に並べず、三角形におさめると目線が回る

3つを1枚に並べるなら、横一列は避けてください。大きい柿を少し奥に、ぶどうの房を手前の左に流し、栗を右手前に2〜3個。全体が三角形におさまる配置にすると、目線が自然に絵の中を回ります。

背景は塗らないほうがうまくいきます。どうしても寂しいときは、モチーフが接する面にだけ薄い影を敷いてください。影は真下ではなく、光と反対側へ長めに。影の色は灰色ではなく、それぞれの果物の色を薄く混ぜた紫がかった茶色にすると、画面全体がひとつの空気でつながります。

ぶどうの紫、柿のオレンジ、栗の茶色。この3色は同じ秋の色でも彩度が違うので、いちばん鮮やかなぶどうを主役に決めて、他の2つは少し彩度を落とすとまとまります。

この「少し落とす」を作るには、同じ色相の中でくすんだほうの1本が必要になります。中間色を細かく持っているセットだと、脇役の色を探し直さずに持ち替えるだけで決まります。

油性色鉛筆180色|3.8mm太めソフト芯|塗り絵・重ね塗り の商品画像

油性色鉛筆180色|3.8mm太めソフト芯|塗り絵・重ね塗り

紫・オレンジ・茶それぞれの中間色までそろうので、主役を鮮やかに、脇役を1段くすませるという彩度の調整が、1本の持ち替えでできます。3.8mmの太めの芯は、芯を寝かせて広い面をなでる塗り方と相性がよく、房や実のような曲面をムラなく埋めやすい太さです。

¥3,698(税込)

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まとめ

秋の味覚を描くときに効くのは、細かく描き込む力よりも、質感の違いに気づく目かもしれません。ぶどうのツヤ、柿の厚み、栗のざらつき。この3つが描き分けられていれば、多少形がゆがんでいても、絵はちゃんとその果物に見えます。

手順としては、ぶどうは3段階の描き分けと隙間の締め、柿は黄・橙・赤の3層と緑をひとさじ、栗は光る面とざらつく面の対比、そして構成は三角形と余白。数値でいえば、この4つが手がかりになります。

  • 筆圧 — 手前の粒で10段階の3から4。奥はもっと弱く
  • 重ねる層 — 柿は黄・オレンジ・朱の3層。1層で決めようとしない
  • 描き込む割合 — 丁寧に仕上げる粒は房全体の3割まで
  • 止めどころ — 渋皮のすじは3〜4本。背景は塗らない

この目安を頭に置いておけば、迷ったときに戻る場所ができます。

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秋の味覚は、描き終わったあとにおいしく食べられるのも嬉しいところです。今夜のデザートを1つだけ皿に残して、スケッチブックを開いてみてください。

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