「きれいな絵を描いてみたいけれど、線をきちんと引くのが苦手」——そんなふうに感じたことはありませんか。輪郭をうまく取れない、塗りムラが気になる。描きたい気持ちはあるのに、そこでつまずいてしまう方はとても多いのです。
そんな方にこそ試していただきたいのが、ソフトパステルです。指でこするだけで色がやわらかく溶け合い、輪郭を描かなくても雰囲気のある一枚になります。今回は、はじめての方に向けて、道具の選び方から夕焼け空の描き方まで、ひととおりの手順をご紹介します。
ソフトパステルってどんな画材
ソフトパステルは、粉状の顔料を少しだけ固めて棒の形にした画材です。芯を紙にこすりつけると、細かい色の粉が紙の表面にのります。この「粉がのっている」状態こそが最大の特徴です。
色鉛筆は線を積み重ねて色をつくる画材ですが、ソフトパステルは面で色を置き、指でなでるだけで境目が消えていきます。発色もふんわりとやわらかく、空や霧、花びらのような「かたちのはっきりしないもの」がとても得意です。
そして初心者にうれしいのが、直しやすさです。粉がのっているだけなので、練り消しをそっと押し当てれば色が持ち上がり、白い紙に戻ります。「失敗したらどうしよう」と身構えずに手を動かせるのが、この画材のやさしさです。
最初に揃えたいもの
必要なものは、驚くほど少なくて済みます。
- ソフトパステル1セット(12〜24色あれば十分です)
- ザラッとした表面の紙(画用紙や、目の粗いスケッチブック)
- 練り消し(消すため、白く抜くための道具)
- ぼかす道具(指のほか、擦筆やコットンでも)
とはいえ、全部そろえてから始める必要はありません。パステルと紙の2つがあれば、今日から描けます。ぼかす道具は指で代用できますし、練り消しは必要性を感じたときに買い足しても間に合います。
ソフトパステル 24色|角型・チョークパステル|収納ケース付き
はじめての1セットにちょうどよい24色。角型なので、平らな面で広く塗り、角のエッジで細い線を引くという使い分けが1本でできます。衝撃保護スポンジ入りの収納ケース付きで、折れやすいパステルを守りながら保管できます。
¥1,298(税込)
商品ページを見る基本の塗り方とぼかし方
まずは、パステルを寝かせて塗ることに慣れましょう。棒を横に倒し、側面を紙に当ててスーッと動かします。鉛筆のように立てて持つと線しか描けませんが、寝かせれば一度に広い面が塗れます。
塗ったら、指の腹で小さな円を描くようになでてください。粉が紙の目に入り込み、境目が消えてなめらかになります。このとき、強くこすりすぎないことがコツです。力を入れると粉が紙の奥までつぶれてしまい、あとから色を重ねられなくなります。「触れるか触れないか」くらいの弱い力で、何度かに分けてなでるのがちょうどよい力加減です。
グラデーションで空を描いてみる
練習にちょうどいいのが、夕焼け空です。輪郭を描く必要がなく、ぼかしの気持ちよさを一番味わえます。
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上のほうに青を置く
紙の上のほうに、青を横向きにサッと塗ります。まだぼかさず、帯のまま残しておきます。
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ピンクとオレンジを重ねる
青の下にピンク、さらに下にオレンジを、それぞれ帯のように塗ります。色と色は少しだけ重なるようにしておきます。
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境目をなじませる
色と色の境目を、指で左右に往復させてなじませます。隣り合う2色だけを混ぜるのがポイントです。
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全体をひとなでする
上から下へ、全体を一度なでて空気をつなげます。ここで一枚の空になります。
境目をぼかすときは、指をあちこち動かさないでください。全部の色が混ざり、灰色っぽくなってしまいます。境目ごとに指を拭きながら進めると、色が澄んだまま残ります。
空が塗れたら、雲を入れてみましょう。ここで練り消しの出番です。練り消しを軽く丸め、雲を置きたい場所にポンポンと押し当てて色を持ち上げます。こすらず、押して離すだけ。白く抜けたところが、そのままふんわりした雲になります。描き足すのではなく消してつくる——この感覚は、ソフトパステルならではの楽しさです。
仕上げと保存のコツ
全体ができたら、細部を足していきます。木の枝や電線のような細い線は、パステルの角を使ってください。角型のパステルなら、エッジの鋭い部分で意外なほど細い線が引けます。
そして最後に、白でハイライトを入れます。雲のふちや水面の光る部分に少しだけ白を置くと、絵がぐっと締まります。白は最初に使うと全体をくすませてしまうので、仕上げのほうに取っておくのがおすすめです。
描いている間、粉がポロポロ落ちるのは正常です。故障でも失敗でもありません。紙を少し立てて描くと、余分な粉が自然に落ちてくれます。
ぼかす道具をひととおり揃えたくなったら、擦筆やブレンダー、パステルまでまとまったセットを選ぶ手もあります。鉛筆デッサンとパステルを行き来したい方には、こちらが向いています。
スケッチ鉛筆 108点セット|缶ケース
スケッチ鉛筆やチャコールに加えて、パステル・擦筆・ブレンダーまで108点がひとつの缶ケースに収まったセットです。ぼかし道具を買い足さずに、鉛筆デッサンとパステル表現を行き来できます。
¥4,580(税込)
商品ページを見るまとめ
ソフトパステルは、うまく線が引けなくても、指一本で雰囲気のある絵になる画材です。
- 塗り方 — 寝かせて広く塗り、指で円を描くようにやさしくぼかす
- 色の順番 — 薄い色から濃い色へ。白は仕上げに
- 雲や光 — 描き足すのではなく、練り消しで消してつくる
- 保存 — 定着剤を吹くか、紙を挟んで平らに
そして何より、この画材は「きちんと描く」ことを求めてきません。指先で色が溶け合っていく感触を味わっているうちに、いつのまにか一枚できあがっています。
気に入った一枚が描けたら、額に入れて飾ってみてください。ガラス越しに見るパステル画は、思っている以上に堂々として見えるものです。