水彩色鉛筆ではじめる水彩画——水筆ペンで描く透明感

水彩色鉛筆と水筆ペン、色を溶かしかけたスケッチブックが並ぶ机

色鉛筆で塗るのは楽しいけれど、水彩画のあの透き通った感じにも憧れる——そんな気持ちを抱えたまま、水彩の道具には手を出せずにいる方は多いのではないでしょうか。絵の具にパレット、筆洗、たくさんの筆。道具を思い浮かべただけで、なんだか大がかりな趣味に見えてしまいます。

けれど、どちらかを諦める必要はありません。水彩色鉛筆という画材は、色鉛筆の手軽さのまま、水彩の透明感まで届いてくれます。夏の終わりのこの時期に、涼しげな一枚を描き始めるのにぴったりの画材です。

水彩色鉛筆ってどんな画材——色鉛筆と水彩のいいとこ取り

水彩色鉛筆は、水に溶ける成分で顔料を固めた色鉛筆です。見た目も持ち心地も、普段使っている色鉛筆とほとんど変わりません。

水彩色鉛筆を乾いたまま塗った状態と水で溶かした状態の比較イメージ
乾いたまま塗った線と、水で溶かしたあとの透明感

乾いたまま使えば、そのまま普通の色鉛筆です。細い線も引けますし、力を加減して面を塗ることもできます。ところが、水を含ませた筆でその上をなぞると、様子が一変します。芯の顔料が溶け出して、水彩絵の具のようになめらかに広がるのです。線だった部分がふわりとにじみ、紙の白がうっすら透けて見える。あの水彩らしい透明感が、色鉛筆から生まれます。

つまり、描くときは色鉛筆のようにしっかりコントロールでき、仕上げは水彩の表情になる。塗り絵の延長のような気持ちで始められて、できあがりは一段格上に見える。これが水彩色鉛筆の一番おいしいところです。

最初にそろえたいもの——水筆ペン・紙・水の3つ

必要なものは、たったの3つです。

  • 水彩色鉛筆(色数が多いほど、混ぜてつくる手間が減ります)
  • 水筆ペン(軸に水を入れて使う筆)
  • 水に強い紙(水彩用紙か、厚めの画用紙)
水筆ペンで絵に水をのせている手元のイメージ
軸を押すと穂先に水がしみ出る。筆洗も水入れもいらない

主役になるのが水筆ペンです。ペンの軸がタンクになっていて、そこに水を入れておくと、軸を軽く押すだけで穂先に水がしみ出てきます。筆洗もいりませんし、水をこぼす心配もありません。使い終わったらティッシュで穂先を拭くだけです。

Tip 紙だけは少し気を配ってください。普通のコピー用紙やノートは、水をのせるとふやけてよれてしまいます。水彩用の紙か、厚めの画用紙を選んでください。厚みの目安は、指でつまんだときにしっかりコシを感じるくらいです。

そろえるものはこれで全部です。水彩色鉛筆と水筆ペンの2つさえあれば、今日から始められます。

色鉛筆 50色|水彩・六角形・3.3mm・ソフト芯|紙製ケース の商品画像

色鉛筆 50色|水彩・六角形・3.3mm・ソフト芯|紙製ケース

はじめの1セットにちょうどよい50色。3.3mmの太めのソフト芯で、乾いたままでも広い面を塗りやすく、水をのせるとなめらかに溶け出します。六角形の軸は机の上で転がりにくく、紙製ケースは開いたまま卓上に置いておけます。

¥1,580(税込)

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基本の3ステップ——塗る・溶かす・重ねる

塗って・水で溶かして・重ねるの3段階の工程イラスト
塗る・溶かす・重ねる。この3つの繰り返しで仕上がっていく

描き方はとてもシンプルで、次の3つを繰り返すだけです。

  1. 乾いたまま、好きな色を塗る

    力を入れすぎないでください。濃く塗りこむと水で溶けにくくなります。うっすら色がのる程度で、あとから水が仕事をしてくれます。

  2. 水筆ペンでなぞって溶かす

    穂先を軽く当ててすべらせるだけ。ゴシゴシこすると、紙の表面が毛羽立ってしまいます。

  3. しっかり乾かしてから、色を重ねる

    生乾きのうちに次の色を重ねると、下の色まで動いて濁ります。乾くのを待つ時間も、この画材の一部です。

Tip 色を重ねるときは、薄い色から濃い色へ。濃い色は少量から足していくと、思っていた色と違ったときにも取り返しがつきます。

水の量で変わる表情——うすく・たっぷり・にじみ

水の量による3種類の仕上がり比較イメージ
同じ色でも、のせる水の量だけで表情が変わる

同じ色でも、のせる水の量だけで仕上がりががらりと変わります。ここが水彩色鉛筆の一番楽しい部分です。

水を少なめにすると、色鉛筆の線がうっすら残ったまま、うすく色がつきます。輪郭の芯が残るので、繊細で軽やかな印象になります。逆にたっぷり水をのせると、線は完全に消えて、絵の具で塗ったようななめらかな色面になります。どちらが正解ということはなく、描きたいものによって使い分けます。

Note 水をたっぷりのせた直後に紙を少し傾けると、色が自然に流れていきます。空や水面のように、はっきりした形のないものを描くときに重宝します。

グラデーションも簡単です。2色を隣り合わせに塗って、境目だけを水でなでてください。2色が溶け合いながらつながり、夕暮れの空のような移り変わりができあがります。

こうした隣り合う色のつながりを増やしていくと、手持ちの色数がものを言うようになります。中間色まで揃ったセットなら、混ぜてつくる手間を省いて、水の加減のほうに集中できます。

色鉛筆 72色|水彩・六角形・3.3mm・ソフト芯|缶ケース の商品画像

色鉛筆 72色|水彩・六角形・3.3mm・ソフト芯|缶ケース

中間色まで含んだ72色。近い色どうしを隣り合わせに置けるので、グラデーションが作りやすくなります。缶ケース入りで、本数が増えても持ち出しやすい一箱です。

¥2,680(税込)

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小さな秋を一枚に——ぶどうと落ち葉で練習

水彩色鉛筆で描いたぶどうと落ち葉の完成見本
形が難しくなく、水彩色鉛筆の持ち味がよく出るモチーフ

道具に慣れてきたら、季節のモチーフを描いてみましょう。この時期なら、ぶどうが一房と落ち葉が数枚。どちらも形が難しくなく、水彩色鉛筆の持ち味がよく出ます。

ぶどうは、まず粒ごとに紫を乾いたまま塗ります。このとき、光が当たる部分を1か所だけ塗り残してください。そのあと水筆ペンで粒の輪郭に沿って円を描くようになぞると、紫がとろりと溶けて実の丸みが生まれます。塗り残した白がそのままハイライトになり、粒がつやつやと光って見えます。

落ち葉は、赤・橙・黄を1枚の中に少しずつ置いて、水でつなぎます。きれいに塗り分けようとせず、色同士が混ざり合うのに任せてください。そのムラが、そのまま枯れかけた葉の風合いになります。

乾いたら、葉脈や粒の影を乾いた色鉛筆で描き足して仕上げです。気に入った一枚は、ぜひ額に入れて飾ってみてください。

まとめ

水彩色鉛筆は、色鉛筆が使える方なら誰でも、今日から水彩画を始められる画材です。

  • 描き方 — 塗る、水で溶かす、乾いたら重ねる。この3つだけ
  • 水の量 — 少なめなら線が残る透明感、多めならなめらかな色面
  • 重ねる順番 — 薄い色から濃い色へ。しっかり乾かしてから
  • 道具 — 水筆ペンが1本あれば、筆洗も水入れもいらない

道具を広げる場所も、片づけの手間もほとんどいりません。テーブルの隅にスケッチブックを開いて、色を置いて、水でなぞる。それだけで紙の上に透明感が生まれます。

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夏の名残りが少しずつ薄れていくこの季節に、涼やかな一枚を残してみてはいかがでしょうか。

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