イチョウ並木の下を歩くと、見上げても足もとを見ても金色で、光のトンネルのなかにいるような気持ちになりますよね。ところがその感動をスケッチブックに移そうとすると、黄色がどうにも弱々しい。紙の上でぼんやりして、あの輝きにならない。かといって強く塗ると、今度は蛍光ペンのような一本調子の黄色になってしまう。
黄色はもともと明度が高く、重ねても色が濃くなりにくい色です。だからこそ、扱い方にコツがあります。ここでは色の重ね方、逆光の透け、落ち葉の地面、葉の形という四つに分けてご紹介します。
黄金色を重ねる——イチョウの黄の見つけ方
黄色い葉だから黄色一色で塗る、とやってしまうと平板になります。実際のイチョウは、緑が抜けきらない浅い黄から、澄んだ黄、そして日に焼けたような金色まで、一本の木のなかに幅があります。
順番は、黄緑、黄、最後に黄土や薄い橙といった金色寄りの色の三層が基本です。芯の先が紙をなでるくらいの軽い力で、面をふわりと覆うように置いてください。
三層すべてを全面に重ねる必要はありません。枝に近い内側ほど黄緑を残し、外側と葉先に金色を強めると、それだけで一本の木に時間の流れが生まれます。
逆光で透かす——光が通り抜ける黄葉の表現
イチョウがいちばん美しいのは、太陽を背にして葉が透けている瞬間です。これを描くときのコツは、明るいところを塗らないことにあります。
色鉛筆は、一度塗った部分をあとから白で明るく戻すのが苦手な画材です。光の部分は、紙の白をそのまま残して表現します。まず葉の重なった部分、枝のかげになる部分にだけ黄土色を置いてください。暗いところができると、塗っていない白がひとりでに輝き出します。
背景の空は、うんと薄い水色を一層だけ。空を明るいまま残しておくと、葉の縁が光にとけるような、逆光らしい柔らかさが出ます。
落ち葉のじゅうたん——地面に広がる黄金色
足もとの黄金色は、イチョウならではの見どころです。ただし一枚ずつ描いていては終わりません。まず地面全体を黄色で薄く覆い、じゅうたんという一つの面をつくってしまいます。
そのうえで、手前の五、六枚だけを扇の形がわかるようにはっきり描きます。中景は葉の向きがわかる程度に、奥はもう小さな点を散らすだけ。近いものほど大きく濃く、遠いものほど小さく淡くという差が、そのまま奥行きになります。
扇形の葉を描く——イチョウの形のとらえ方
イチョウの葉は形そのものが魅力です。手順は三段階で覚えられます。
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扇を開いたような半円を描く
はじめに、扇を開いたような半円を薄く描きます。縁は直線ではなく、ゆるく波打たせてください。
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上の縁に浅い切れ込みを入れる
上の縁の真ん中あたりに、浅い切れ込みを一つ。左右対称にしないのがポイントで、少しずらすだけで本物らしくなります。
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葉柄と葉脈を加える
下の一点から細い葉柄を伸ばします。葉脈は、葉柄の一点から扇の縁へ放射状に走ります。すべて描くと硬くなるので、数本にとどめます。
一枚描けたら、同じ手順で角度を変えて何枚か。真横から見た葉、丸まった葉が混ざると、地面の表情が豊かになります。
用意するもの
黄緑から金色までの三層を重ねるので、黄色まわりの色の幅が広いほど、葉の色の移ろいがなめらかになります。逆光の空の水色や影の青紫も使うため、黄色系と寒色の両方がそろったセットが描きやすくなります。
油性色鉛筆24色|ゴッホの名画を思わせる色|絵画・イラスト
ひまわりを思わせる黄色系と、星月夜の深い青系を中心に選んだ24色。イチョウの黄から金色への重ねと、空や影に使う寒色を一つの缶でそろえられます。まずは一枚描いてみたい方に。
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油性色鉛筆180色|3.3mmソフト芯・缶ケース|塗り絵・イラスト
黄緑から黄、黄土、薄い橙まで、黄色まわりの中間色が細かくそろう180色。三層の重ねに使う色を、葉の内側と外側で少しずつ変えながら選べます。重ね塗りに向いたソフト芯で、並木を一本ずつじっくり描き込みたい方に。
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イチョウを描くコツは、黄色は薄く重ねて金色に育てること、光は塗らずに紙の白で残すこと、落ち葉は面として捉えて手前だけ描き込むこと、そして扇形を三段階で組み立てることの四つです。
まずは拾ってきた一枚を机に置いて、そこから始めてみてください。一枚描けると、並木全体の描き方が見えてきます。
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並木の金色は、ほんの数週間で散ってしまいます。今年の秋の光を、ぜひ手元に残してみてくださいね。