イチョウの黄葉を色鉛筆で描く——黄金色の葉と光の重ね方

秋のイチョウ並木の下で、黄金色の葉を色鉛筆で描いている手元のキービジュアル

イチョウ並木の下を歩くと、見上げても足もとを見ても金色で、光のトンネルのなかにいるような気持ちになりますよね。ところがその感動をスケッチブックに移そうとすると、黄色がどうにも弱々しい。紙の上でぼんやりして、あの輝きにならない。かといって強く塗ると、今度は蛍光ペンのような一本調子の黄色になってしまう。

黄色はもともと明度が高く、重ねても色が濃くなりにくい色です。だからこそ、扱い方にコツがあります。ここでは色の重ね方、逆光の透け、落ち葉の地面、葉の形という四つに分けてご紹介します。

黄金色を重ねる——イチョウの黄の見つけ方

一枚のイチョウの葉を題材に、黄緑・黄・金色の順で色鉛筆を3層重ねていく過程を左から右へ3段階で並べた図解
黄緑、黄、金色の三層。濃くしたいときは、筆圧ではなく層を足します。

黄色い葉だから黄色一色で塗る、とやってしまうと平板になります。実際のイチョウは、緑が抜けきらない浅い黄から、澄んだ黄、そして日に焼けたような金色まで、一本の木のなかに幅があります。

順番は、黄緑、黄、最後に黄土や薄い橙といった金色寄りの色の三層が基本です。芯の先が紙をなでるくらいの軽い力で、面をふわりと覆うように置いてください。

Tip 濃くしたいときに筆圧を上げると、紙の目がつぶれて色が濁ります。同じ色をもう一層足すほうが、深みが出ます。

三層すべてを全面に重ねる必要はありません。枝に近い内側ほど黄緑を残し、外側と葉先に金色を強めると、それだけで一本の木に時間の流れが生まれます。

逆光で透かす——光が通り抜ける黄葉の表現

逆光のイチョウの葉が光に透けて輝く様子。背景を明るく残し、葉の輪郭と葉脈を薄く描き残す手法を示した図解
明るいところは塗らずに残す。暗い部分を置くと、紙の白が光に変わります。

イチョウがいちばん美しいのは、太陽を背にして葉が透けている瞬間です。これを描くときのコツは、明るいところを塗らないことにあります。

色鉛筆は、一度塗った部分をあとから白で明るく戻すのが苦手な画材です。光の部分は、紙の白をそのまま残して表現します。まず葉の重なった部分、枝のかげになる部分にだけ黄土色を置いてください。暗いところができると、塗っていない白がひとりでに輝き出します。

Tip 葉脈も同じ考え方です。線として描き足すのではなく、色を置くときに細く白く残しておきます。一枚の葉に三本から四本、扇の骨のように走らせるだけで十分です。

背景の空は、うんと薄い水色を一層だけ。空を明るいまま残しておくと、葉の縁が光にとけるような、逆光らしい柔らかさが出ます。

落ち葉のじゅうたん——地面に広がる黄金色

地面に広がるイチョウの落ち葉の描き方の図解。手前の大きな落ち葉ははっきり、奥は小さな点で表し、落ち葉の影に青紫を下地として敷く手順
地面は面で覆ってから、手前だけを描き込みます。影は青紫から。

足もとの黄金色は、イチョウならではの見どころです。ただし一枚ずつ描いていては終わりません。まず地面全体を黄色で薄く覆い、じゅうたんという一つの面をつくってしまいます。

そのうえで、手前の五、六枚だけを扇の形がわかるようにはっきり描きます。中景は葉の向きがわかる程度に、奥はもう小さな点を散らすだけ。近いものほど大きく濃く、遠いものほど小さく淡くという差が、そのまま奥行きになります。

Note 影には黒を使わず、青紫を薄く敷いてから茶色を重ねてください。黄色の隣に青紫が来ることで、金色がいっそう鮮やかに感じられます。
仕上げ 空中を舞う葉を二、三枚。向きをそれぞれ変えて散らすと、風の通り道が見えてきます。

扇形の葉を描く——イチョウの形のとらえ方

扇形のイチョウの葉のシルエットと切れ込み、葉脈の描き方を、大きな葉1枚と3段階のスケッチで示した図解
半円、切れ込み、葉柄の三段階で扇形を組み立てます。

イチョウの葉は形そのものが魅力です。手順は三段階で覚えられます。

  1. 扇を開いたような半円を描く

    はじめに、扇を開いたような半円を薄く描きます。縁は直線ではなく、ゆるく波打たせてください。

  2. 上の縁に浅い切れ込みを入れる

    上の縁の真ん中あたりに、浅い切れ込みを一つ。左右対称にしないのがポイントで、少しずらすだけで本物らしくなります。

  3. 葉柄と葉脈を加える

    下の一点から細い葉柄を伸ばします。葉脈は、葉柄の一点から扇の縁へ放射状に走ります。すべて描くと硬くなるので、数本にとどめます。

一枚描けたら、同じ手順で角度を変えて何枚か。真横から見た葉、丸まった葉が混ざると、地面の表情が豊かになります。

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用意するもの

黄緑から金色までの三層を重ねるので、黄色まわりの色の幅が広いほど、葉の色の移ろいがなめらかになります。逆光の空の水色や影の青紫も使うため、黄色系と寒色の両方がそろったセットが描きやすくなります。

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まとめ

イチョウを描くコツは、黄色は薄く重ねて金色に育てること、光は塗らずに紙の白で残すこと、落ち葉は面として捉えて手前だけ描き込むこと、そして扇形を三段階で組み立てることの四つです。

まずは拾ってきた一枚を机に置いて、そこから始めてみてください。一枚描けると、並木全体の描き方が見えてきます。

並木の金色は、ほんの数週間で散ってしまいます。今年の秋の光を、ぜひ手元に残してみてくださいね。

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