表情は3つのパーツで決まる——眉・目・口の描き分け

同じ輪郭の顔が七つ並び、笑う・照れる・驚く・怒る・泣く・眠い・にっこりの表情を見せているイラスト

顔を描いたのに、なんだか無表情。そんな経験はありませんか。輪郭は卵形に描けるようになった、目や鼻の位置も十字の補助線で合わせられるようになった。それなのに、できあがった顔がのっぺりして見える——というお悩みは、実はとても多いのです。

原因は画力ではありません。表情をつくるパーツが、どこも動いていないだけです。人の顔で感情を伝えているのは、眉と目と口。この三つだけです。逆に言えば、この三つの動かし方さえ覚えれば、同じ輪郭からいくらでも違う表情が生まれます。今日はその描き分けを、順番に見ていきましょう。

眉——上げる・下げる・寄せる

眉の三パターンを並べた図解。上げた眉、下げた眉、中央に寄せた眉に、それぞれ動きの向きを示す矢印がついている
動かすのは端だけ。それでも印象は大きく変わる

まずは眉です。実は表情のいちばん大きな部分を担っているのが、この一本の線です。

眉を外側の端だけ上げると、驚きや悲しみになります。目が大きく見えて「え?」という顔になりますね。逆に外側を下げて、ゆるやかな八の字にすると、優しさや笑いの表情になります。困った顔にも見えますが、口が笑っていれば柔らかい笑顔として伝わります。

そして眉の内側を中央に寄せて、眉間を狭くすると怒りや困惑です。眉と眉のあいだの距離が縮まるだけで、ぐっと険しくなります。

Tip 眉全体を平行移動させないことがコツです。外側の端がどちらへ向かうか、内側の端がどこへ寄るか。この二点だけを意識して線を引き直せば、それだけで表情が変わります。

目——見開く・細める・伏し目

目の三パターンの図解。見開いた目、細めた目、伏し目を並べ、まぶたの線と瞳の位置の違いを示している
瞳ではなく、まぶたの線が表情をつくる

次は目です。ここで大事になるのは、瞳そのものより「まぶたの線」です。

見開いた目は、上まぶたの線を高く、下まぶたの線を低く描きます。瞳の上下に白目の余白が見えるようにすると、驚きや緊張が出ます。

細めた目は、上まぶたの線を下げて瞳の上半分を隠します。さらに下まぶたを少し持ち上げて、ゆるく上に反るカーブにしてください。ほおが上がって目が押し上げられる形になり、これが笑ったときの目です。

伏し目は、上まぶたの線を大きく下ろして、瞳を下寄りに置きます。まつげの線を少し濃くすると、視線を落とした照れやはにかみになります。

Note 三つとも、目の大きさ自体は変えていません。まぶたの線の高さと瞳の位置を動かしているだけです。

口——開く・への字・にっこり

口の三パターンの図解。開いた口、への字の口、にっこりした口を並べ、口角の上下を矢印で示している
見るところは一つ、口角が上がっているか下がっているか

口は、ポイントが一つに絞れます。口角が上がっているか、下がっているかです。

大きく開いた口は、上下の唇のあいだを楕円に近い形で開けます。上向きの弧を描くように開けると、声を出して笑っている表情になります。

への字は、口の中央を少し持ち上げて、両端を下げた形です。不満や怒り、こらえている気持ちが出ます。線を一本引くだけでも十分伝わります。

にっこりは、閉じた口の両端を少しだけ上へはねさせます。ほんの一ミリ、線の端を上向きに払うだけで表情が変わります。

Tip にっこりは大きく描きすぎないほうがうまくいきます。口角を上げすぎると笑顔というより、はしゃいだ顔になってしまいます。

組み合わせると、表情が生まれる

笑う・怒る・泣くの三つの完成した表情。それぞれ眉・目・口のどのパターンを使っているかを示した図解
同じ口でも、眉と目が違えば別の感情になる

ここまでの三つを組み合わせてみましょう。

  • 笑う — 眉を下げて、目を細めて、口を開く
  • 怒る — 眉を寄せて、目を見開いて、口をへの字に
  • 泣く — 眉を上げて、目をつぶって、口をへの字に
  • 照れる — 眉を下げて、目を伏し目にして、口をにっこり
  • 眠い — 眉はそのままに、目を細めて、口を小さく開ける

同じ「への字の口」でも、眉と目が違うだけで怒りにも泣き顔にもなるのがおもしろいところです。三つのパーツをかけ合わせるだけで、七つでも八つでも表情はつくれます。

並べて描くと、違いが見えてくる

練習するときは、同じ輪郭を紙に六つほど並べて描いてしまうのがおすすめです。輪郭と目の位置だけ同じにして、眉・目・口だけを変えていく。そうすると、どのパーツがどれだけ効いているかが一目でわかります。

一つの顔を描き直すより、並べて見比べるほうが上達が早いのです。輪郭はごく薄く、眉や口の線ははっきりと。同じ濃さで描いてしまうと、どこを変えたのかが見えにくくなります。

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硬さの違う鉛筆がひととおり入っているので、輪郭は薄く、眉や口の線ははっきりと描き分けられます。表情の練習は同じ線を何度も引き直す作業になりますから、消して描き直せる道具がそろっていると気が楽です。

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慣れてきたら、お子さんやお孫さんの写真を見ながら、その人がよくする表情を一つ加えてみてください。似顔絵がぐっとその人らしくなります。

表情が決まったら、色を重ねてみるのもおすすめです。照れた顔ならほおに赤みを、笑った顔なら目もとにうっすら影を。線だけのときとは印象が変わります。

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うすだいだい系やピンク系が何段階か入っているので、表情に合わせて血色を選び分けられます。3.3mmのソフト芯は軽い筆圧でも色が乗り、ほおの赤みのようなうっすらとした表現に向いています。

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まとめ

表情をつくっているのは画力ではなく、三つのパーツの向きでした。押さえるところを整理しておきます。

  • 眉は、端の向き — 外側を上げるか下げるか、内側を中央へ寄せるか
  • 目は、まぶたの線 — 目の大きさは変えず、線の高さと瞳の位置だけを動かす
  • 口は、口角の上下 — 上がれば笑顔、下がれば不満。動かすのはほんの少しで足りる

同じ輪郭でも、この三つを動かすだけで顔は驚くほど変わります。

・・・

まずは眉から、一本だけ線を引き直してみてください。それだけで顔が動きはじめるのが分かるはずです。

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