色が心に与える効果——赤・青・緑で伝えるコツ

赤・青・緑それぞれを主役にした静物を色鉛筆で描き、三枚並べた対比イラスト

描いた絵を見せたとき、構図やモチーフの感想より先に「なんだか元気な絵ですね」「見ていると落ち着きます」と言われたことはありませんか。相手は何が描いてあるかを読み取る前に、色から気分を受け取っています。

色は、言葉を介さずに人の気分や判断に働きかけます。色彩心理学と呼ばれる分野で研究されてきたことですが、大事なのは、それを決まりごとではなく、あくまで傾向として知っておくことです。そのうえで伝えたい気持ちに合う色を選べるようになると、一枚の仕上げ方が変わってきます。今日は赤・青・緑の働きと、色の意味が変わってしまう理由を見ていきます。

赤・青・緑は、それぞれ違う声を持っています

赤・青・緑の色鉛筆を三本並べ、それぞれの下に反応を示すイラスト。赤の下に上がる心拍の波線とりんご、青の下に穏やかな波線と本を読む人、緑の下に木漏れ日と休んでいる目。日本語で「赤=活力と注意」「青=静けさと集中」「緑=安心と休息」の文字入り
赤は視線を集め、青は時間をゆるめ、緑は居場所をつくる

赤は、心拍数や血圧を上げる方向に働くと言われます。活力や情熱を感じさせ、食欲を刺激し、何より人の注意を強く引きつけます。画面の中に赤が一点あると、見る人の視線はまずそこに落ちます。だからこそ赤は、面積ではなく置き場所で効く色です。一番見てほしい場所、たとえば果実の熟れた部分や、人物の頬のひと差しに使うと、小さくても画面が動き出します。

青は反対に、心拍を落ち着かせる方向に働きます。集中や信頼といった印象にもつながる色です。青が広く占める絵は、見る人が急かされずに長く眺めていられます。静けさを伝えたい風景画で、空や水面を広く取ると効果がはっきり出ます。

緑は、自然を連想させて安心とくつろぎをもたらします。目が疲れにくい色としても知られていて、長く見続ける場面に向いています。画面の広い面積を任せても見る人が重たく感じにくいので、背景や下地を支える役に向いています。

Note ここで意識したいのは、この三色を暖かい色と冷たい色の二組に分けてしまわないことです。赤は視線を集める色、青は時間をゆっくりさせる色、緑は居場所を作る色。それぞれ役割が違うと捉えたほうが、実際の一枚では使いやすくなります。

空や水面を青で広く取ったり、緑で画面を支えたりするときは、同じ系統の色が何段階か揃っていると塗り進めやすくなります。明るい水色から深い青、青緑へと持ち替えていくだけで、広い面にも表情が生まれます。

Seascape油性色鉛筆24色|海を描くソフト芯|風景画・イラスト の商品画像

Seascape油性色鉛筆24色|海を描くソフト芯|風景画・イラスト

海と空を描くために選ばれた24色で、アクアブルーから深い青、緑、波の陰影に使うセピアまでが揃っています。空や水面を青で広く取る風景画にそのまま使え、色数が絞られているぶん、この記事の後半で触れる「この一枚の三色」を決める練習にも向いています。

¥1,280(税込)

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同じ色でも、文化と文脈で意味が変わります

同じ赤い一点を、明るい白い画面と暗く沈んだ画面にそれぞれ置いた二枚の比較イラスト。左の白い画面では祝いの華やかさ、右の暗い画面では警告のような緊張感が出ている様子。日本語で「同じ赤でも意味が動く」「白=清浄と喪」「紫=高貴と創造性」の文字入り
同じ赤でも、置かれた画面によって意味が入れ替わる

白は日本では祝いの色ですが、文化によっては喪の色として扱われます。赤や紫も同じで、色の意味は育った場所によって入れ替わります。国ごとの違いは色の感情を描く——暖色と寒色の使い分けコツで詳しく紹介しています。

描き手にとってもうひとつ大事なのは、同じ一枚の絵の中でも、その色がどこに置かれているかで意味が動くことです。明るく白い画面に置かれた赤い一点は晴れやかな祝いに見え、暗く沈んだ画面に置かれた同じ赤は張りつめた警告のように見えます。色の意味は色そのものではなく、周りとの関係で決まっていくのです。

ですから、この色はこういう意味だと決めつけずに、誰に、どんな場面で見てもらう絵なのかを考えて選ぶのがおすすめです。手元に残す一枚なのか、誰かに贈る一枚なのか。それだけでも選ぶ色は変わります。この違いを知っていると、あえて意味をずらして見る人を立ち止まらせる表現も選べます。

伝えたい感情から、使う色を逆算します

スケッチブックの横に色鉛筆を三本だけ選んで並べ、残りの色は箱に収めたままにしている手元のイラスト。同じ花の絵を生成り・グレー・深い緑の三種類の背景で描き分けた小さなカードが添えられている。日本語で「この一枚の三色を決める」の文字入り
塗り始める前に、この一枚の三色を決めておく

色の働きが分かってきたら、順番を逆にしてみます。何色を使うかから考えるのではなく、どんな気持ちを伝えたいかから色を決めるのです。

まず試しやすいのは、背景の色を先に決めることです。同じ花を描いても、背景が生成りなら手触りのあるやわらかさが、落ち着いたグレーなら静かな上品さが、深い緑なら森の中のような奥行きが出ます。主役は変えずに背景だけ変えた二枚を描き比べると、背景色一つで作品の性格が変わると実感できます。主役の色の補色を背景にほんの少し添えると、主役がより鮮やかに立ち上がってきます。

もう一つは、使う色を絞る引き算です。色数の多いセットは全部使いたくなりますが、全色を並べると目が疲れ、どこを見ればいいか分からなくなります。そこで、この一枚の三色を先に決めてしまいます。気持ちを運ぶ主役の色が一つ、画面を支える広い面積の色が一つ、視線を着地させる差し色が一つ。残りの色は、その三色をなじませるためにそっと添えるだけにします。

Tip 描き始める前に、伝えたい気持ちを短い言葉にしておくと、この三色は自然と決まります。静かな秋の午後なら、支える緑と落ち着いた背景に、ひと差しの赤。言葉が先にあると、色選びで迷う時間がぐっと減ります。

引き算は、選べる色が手元にあるほど効いてきます。同じ赤でも黄みに寄った赤と深く沈んだ赤、同じ緑でも明るい若葉色と青みの深緑。候補が細かく揃っていれば、伝えたい気持ちにいちばん近い一本を選び抜けます。

油性色鉛筆180色|3.3mmソフト芯・缶ケース|塗り絵・イラスト の商品画像

油性色鉛筆180色|3.3mmソフト芯・缶ケース|塗り絵・イラスト

同じ系統の中に、明るい色から深く沈んだ色までが細かく並ぶ180色。主役・支え・差し色の三本を、気持ちに合わせて選び分けられます。1本ずつカラー名と番号が刻印されているので、うまくいった三色の組み合わせを控えておき、次の一枚で再現するのにも便利です。

¥3,798(税込)

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まとめ

色は塗るための道具であると同時に、気持ちを伝えるための言葉でもあります。赤は視線を集め、青は時間をゆるめ、緑は安心を置く。そして同じ色でも、誰がどんな場面で見るかによって届き方は変わります。

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次に一枚描くとき、塗り始める前に少しだけ、この絵で何を伝えたいかを考えてみてください。そこから背景の色と三色を選ぶだけで、同じ腕前でも、伝わり方は驚くほど変わります。

アトリエの散歩道では、海と空の青を集めた24色から、微妙な色の違いまで揃う180色まで、色選びそのものを楽しめる色鉛筆をご用意しています。伝えたい気持ちに寄り添う一本を、ゆっくり探してみてください。

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